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あの町で小学生時代を過ごした。 Aちゃんと同じ小学1年生の夏休みから6年生まで。 バス道路以外は車が通るのがやっとの狭い路地ばかりの町。 そして、古くからある住宅と新興住宅・マンションにすむ住民の間には目に見えない壁があったと思う。 宅地間には目隠し用の垣根がぐるりと植えられている場所が多かった。 あと10mで家の玄関という場所で垣根の間に引っ張り込まれそうになったことがある。 まだ日の高い時間で、相手は近所に住む大学生だった。 脱兎のごとく家に逃げ帰った。 子どもゆえの悲しさで家族に出来事をうまく説明することができない。 「あんたがぼーっとして隙があるからだ。ちゃんとしなさい」 7歳や8歳の子どもなんて隙だらけで当たり前で、そういうたくらみを持った輩(やから)を相手にちゃんとするもなにもないろうに。と今なら代わりに反論できるのだけど。 10年前、久しぶりに訪れた件の町はさらに様子が変わっていた。 新たな高層マンションがにょきにょきと乱立し、町並みはさらに猥雑となり統一感など皆無に等しい。 そんな町には鬼が棲みつく。あの子は不運なことに白昼の死角に飲み込まれてしまった。 どんなに怖かっただろう。悲しかっただろう。悔しかっただろう。 もう大丈夫。あなたに触れることができるのは、大好きなお母さんやお父さんの優しい手だけ。 たくさんなでてもらって。そしてゆっくり、ゆっくり眠って。 この世でのいやなことは全部忘れて、また生まれ変わっておいでね。 |
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